住まいの情報

防犯住宅の危険性について考える

当社のある杉並区は都内でもたいへん犯罪が多い地域であり、侵入窃盗では1119件(8月末現在)で
都内ではワーストNO1の地域だということをご存知でしょうか?

ほぼ毎日、区内のどこかで空き巣などの浸入窃盗が行われています。
区や警察では、防犯の呼びかけやリアルタイムで情報を流すなど
防犯に力を入れているようですが、なかなか減らないのが現実のようです。

当社では先日、防犯アナリストとして著名な梅本正行先生の防犯セミナーを受講しました。
以前より防犯について取組みを始め、セキュリティアドバイザーの資格取得や現場検証など
色々と教えていただき、この度もスタッフ数名で参加し更に知識を高めることができました。

梅本先生曰く、道などで起こる犯罪は個人の責任範囲ではあるけれど、
住宅の中で起こる犯罪については、個人はもちろんだけれども住宅会社にも責任があるのではないか?
ということで、たいへん気の引き締まる思いです。

世間でも犯罪に対する不安が大きくなり、ようやく近年になり防犯住宅がクローズアップされてくるようになりました。
この防犯住宅と呼ばれるものの大半は、面格子や防犯ガラスなど「モノ」をつけて防犯住宅と呼ばれ、かなり棟数も多くなってきたようです。

しかし・・・実は、ここに落とし穴があることを知っていただきたいのです。
「高いお金を掛けて防犯住宅を建て、警備会社とも契約しているから安心だ。」

この住む方の油断の中にこそスキが出来て、思わぬ犯罪に会うことが最も心配されるところなのだということを・・・。
現に某警備会社と契約していたにも拘わらず、システムのスイッチが入っておらず浸入盗に入られた○○監督の話しは有名です。

進入犯罪の多くは数分間、わずかなスキをついてきます。鍵を掛けずに数分間のゴミ出し、
チョッとしたご近所さんとの立ち話。このほんのわずかな時間に進入されているケースは決して少なくありません。

物が盗まれるだけならまだしも、命に及ぶ危険まであるのです。少しくらい・・・という安易な考え方には気を付けたいものです。

又、泥棒にも色々なタイプや得意な方法もあるようですが、彼らは共通して必ず下見をすると言われています。
巧妙に不自然さを出さず下見をし、時と場所を選んで浸入する。そういう意味ではプロの泥棒?は計画的に狙ってきていると言えましょう。

当然、防犯を考える時には、周辺環境で下見するポイントはどこなのか?どこに潜んでいるのか?
どこから侵入して、どういった逃走経路をたどるのかを知らなければ有効な対策は不可能です。
そんな意味で街の特性や周辺環境を把握し、その状況に合わせた建築計画をする必要があります。

つまり、建物だけを装備しても安全であるとは言い切れないのです。防犯住宅について調べると、
CPマークの付いた防犯設備・部材を使っているから安心というのが目立ちます。

このCPマークですが、それは平成8年度に刑務所に服役中の受刑者から取った
「侵入に5分以上掛かると70%の泥棒が侵入をあきらめる」というデータを基に、
侵入に5分以上掛かることをガイドラインとした商品を認定するということになったようです。

ほとんどの防犯住宅を扱う会社ではこのCPマークのついた商品を取り付けて「防犯住宅」と呼んでいます。

ですが・・・逆に言えば5分以上掛けても侵入する泥棒が30%以上もいる事実を考えると
果たしてそれで万全なのでしょうか?もちろんCPマークつきの住宅部材も、より良い性能を求めた方が良いと思います。

しかし、どのような条件で「狙う家」を捜しているのか?どんな時を狙って浸入してくるのか
というような侵入者心理を考え、予知防犯をすることが大切だと梅本先生は力説されております。

つまり本当の「防犯住宅」を造るには、防犯性能の高い住宅部材を使いつつ、
お引渡しのときに防犯上の注意点を入念に説明し、住宅会社は常に最新情報を発信し、
ご家族は仕入れた最新の情報とその対策を家族で共有するところまで考えることです。

犯罪手口が日々変化し、より巧妙化し進化していることを忘れない。
そのような意味では100%の防犯住宅は無いのかもしれません。

それでも状況に合わせ設備の見直しや、住む方々が細心の注意を払うことこそ
理想の防犯住宅を実現する唯一の手段であることだけは確かです。

以上のようなことから、防犯を考える時は建物対策、プランの配慮はもちろんのこと外構計画、配置計画が大切です。

更には生活上の注意、万一の際の対処などトータルに考えなければなりません。
だから本当の防犯知識を持った住宅会社に依頼し入念に計画することが大切です。

地域の中でしっかりとした対策を提案できる住宅会社と話しあってより良い対策をしてください。

長々と色々書きましたが・・・「色々言われてこれでもかって対策したけど・・・
何だか結果的に防犯設備を使うことも無かったね」と言えることが本当は幸せなことなのです。

家族の幸せを守るためにも、多くの時間を割いて取り組んでいただきたいと思います。

 

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