設計スタッフの徒然話

安全な階段をつくるための住宅設計のポイントについて

先日、ふとある場所の階段を見ていて、これでは危ないな…と感じることもあり、
安全な階段にするための設計ポイントについて考えてみたいと思います。

●住宅の中で事故の起こりやすい場所は?

実は住宅の中で発生する事故って、かなり多いのをご存じでしょうか。
ケガややけどなど色々ですが、安全・安心な住まいにしたいのに、
住宅の中での事故が多いことはたいへん残念です。

もちろん使い方やフトした油断などから起こることもあり、難しい面もありますが、
それでもちょっとした意識や知識、そして工夫で
安全性を向上させることもできるのではないかと思います。

因みにですが、住宅の中で事故が起こりやすい場所をご存じでしょうか?

例えば、国民生活センターのHPで「くらしの危険」と検索していただくと
「高齢者の家庭内事故」というリーフレットが見やすく用意されていたりします。

キッチンでのやけどや浴室での転倒・入浴中の事故、そして階段での
転倒事故や転落事故が多いなど、過去のデータからみてとれるとのことです。

今回のテーマである「階段からの転落事故」で亡くなられた方が、どのくらいおられるか探してみると、
厚生労働省の「家庭内における主な不慮の事故の種類別にみた年齢別死亡数・構成割合(平成21年)」によれば、

年間で480名もの方がいるらしく、さらに言えば事故によりけがをされた方は
このもっと何倍にもなるということでしょう。

こんなにも多くの方が・・・と、驚きを感じると共に誰もが可能性のあることなのだと実感します。

●安全な階段の設計とは?

この階段での転倒や転落事故をできるだけ防ぐ為に、
安全な階段の設計は大切だと思います。

間取りを考える時に、各部屋の広さを重視するばかりに、最低限の広さにするなど
階段の安全性は見落としがちになることもあるかもしれません。

基本的には足をのせるにも充分な奥行を確保し、できるだけ1段ごとの段差が低く、
緩やかで安全な階段にすることはもちろんですが、

現実には階段の段数を減らして広さを縮めた為に、1段の高さが少しづつ高くなってしまう
みたいなことの現実的には起こっています。

特に、2階リビングなどにした場合には、階段を利用する頻度が上がるため、
その分、安全性にも十分考慮した無理のない階段設計にしたいものです。

●安全な階段は、曲がり階段部分に注意

安全な階段にするには、特に注意したいのは曲がり階段のところです。

 

 

 

 

 

 

 

曲がり階段のところを1段のおどり場で設計する場合には、広さも申し分なく安全なのですが、
ほとんどの場合、2段曲がりや3段曲がりになっていたりします。

この2段・3段曲がりの場合は、外側の階段幅(踏面)は比較的広いのですが、
逆に内側の階段幅は狭く、足を全部乗せるのが無理なくらいの広さです。

従ってこのような設計をする場合には、外側を回って階段を使うのが正解ですが、

例えば用事があって急いでいる時や、ちょっとした油断から
この階段の内側に足を下ろしてしまい、踏み外すことも多いようです。

ですので設計の時には、30度60度、または45度45度の2段にするなどして
狭い部分の幅を確保するよう安全面から「基準」が設けられたりしていますが、

曲がり階段での段数を少なくした分、1段の段差が高くなったり、
平面的に他の部分にもっと必要になるというデメリットも出てくるため、

この3段曲がりというのは、比較的多く使われていると思われます。

●階段手摺の取付位置に注意

また、近年では階段に手摺(握りバー)を設置することが一般的になっていますが
この手摺バーの取付位置についても注意が必要です。

手摺が曲がり階段に対して、内側に付いているのか?外側に付いているのか?で、
おのずと階段のどちら側を
歩き易くなるのかが決まってきます。

手摺を利用せず上り下がりをする方も多いのでしょうが、
それも、年齢と共に利用する頻度が上がってくると思われます。

もちろん体力的に不要と感じられる方でも、
安全性という意味から利用していただきたいのですが

いずれにしても、手摺の取付位置によって、階段の奥行が狭く危険な曲がり階段の内側を
利用する頻度が
上がってしまうようなことは安全面からお勧めできません。

しれでも実際に住宅の設計を進めていくと、階段部分の窓に手摺がかぶってしまうことなど
様々な理由から内側設置が検討されることもあります。

その場合には、お住まいの方が安全面からのリスクをしっかりご理解いただいた上で
決定していただく必要があるのかと思います。

●曲がり階段の、位置に注意

更に、曲がり階段がなくて、まっすぐな階段でしたら良いのですが、
この曲がりが1階に近い場所にあれば、最悪足をくじくなどの事故で済むかもしれませんが、

2階の高い位置にあった場合には、転落事故にまで発展する可能性もあります。

高い位置にあるのか?低い位置で行けるのか?もしくは真ん中あたりなのか、
曲がり階段を設けるのであれば、その位置にも安全面からの注意が必要です。

実際、階段では下りの時の事故が、上がる時よりも4倍多いというデータもあります。
従って、できるだけ低い位置が安全面から良いと思います。

 

このように設計時の工夫によって危険度が変わってきますので、後ではやり返しが効かないこともあり、
計画時には良く打合せをされた方が良いかと思います。

●階段・段差付近につくるドアに注意

また、階段や段差がある場所や、すぐ近くに、ドアや扉を付けるなどしている場合があります。

必要性があってドアなどを取り付けるのかと思いますが、
人の意識というものはどうしても一方に偏りがちです。

習慣でなんとかなることもあるのでしょうが、
特にドアを開けたそのすぐ先に、下りの階段や段差があるような設計は
転倒や転落事故など安全面から控えた方が良いと思われます。

階段の降り口付近にドアを付ける場合には、廊下・階段の方に開くのではなく
引戸や部屋側に開くドアとした方が
出会いがしらなどによる転倒・転落事故を予防することができます。

以上のように、階段の安全性については
プラン検討中の間は意識が遠くなりがちな部分ではありますが、

生活に支障をきたしたり、不便を感じるような
重要な要素であることは間違いありません。

設計士の方にしっかりとご相談され、
安全な階段で、転倒や転落事故のない安全な住まいになることを願っております。

ご相談はお気軽にどうぞ
https://www.iko-home.co.jp/

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