ちょっと・・ひとり言
住宅の骨組み、無垢の杉柱、国産材を求めて2
この度、福島県で杉の植林地を視察してきました。
以前にもお知らせしましたが、準備を進めていた国産杉材の利用に目処が立ちました。
トレーサビリティという言葉も流行っていますが、使用する資材がどのような環境で育ち、どのように伐採・加工されてくるのか?
確認の意味でも貴重な経験をすることができました。
今回は「家づくりに対するその本質や原点の追求」という、同じ思いを持った人達が集まった会で実施したものです。
木造の注文住宅を建てているのだから、まず木のこと、そして国産材を利用するのであれば植林地の現状についてしっかり勉強し、
木を大切にする気持ちを再認識したいということが計画の発端です。
早朝に東京を出発するハードスケジュールではありましたが、植林~間伐~伐採の現場を見学し、
可能なら伐採作業もしてみようという予定でしたが、残念ながら今回は伐採作業までは叶いませんでした。
当日は、若干寒さも感じる天候でしたが当社スタッフも参加し、
初めての経験に期待半分・不安半分(山歩きは苦手?)のスタートとなりました。
10時に現地入り、森林組合の方の案内により、まず植林した場所から見学しました。
植林されて3年の苗木は正直初めて目にするものであり、これが大木になるのにどれだけの手間と時間が掛かるのか?
正直言って現在行われている植林は、コスト的に考えると決して採算の取れる事業ではないそうです。
補助金がなければ成立しない厳しい現状があります。
しかしこうやって苗木を目の前にすると、後世の人の為に新たな植林をし、
山を守っていく・・・そんな尊さの一端を感じることができました。
それぞれの場所では、組合の方よりわかりやすい説明と、それにまつわる色々なお話を聞くことができ、
杉並区という街中で家を作る私達ではありますが、
このような場所で山を守っている人達のおかげで材木を使えるのだというきわめて単純なことに今更ながら感謝した次第です。
その後、不慣れな私達の為に道路からあまり奥に入らない伐採現場を案内していただき、
まさに一本一本人の手により伐採搬出されている様子を見ることができました。
本当はもっと奥に入って、たいへんさを実感したかったんですけど・・・脚が・・・(~_~;)。
又、間伐し始めた現場、間伐されて手入れの行き届いた現場を比較して見ることもでき、
植林~間伐への工程や、更に土砂崩れなどの自然災害が、
山を放置し荒らしてしまったことと密接に関係があることも聞かせていただき、実感することができました。
様々お聞きした話の中で印象的だったのは、木の本来持っている価値はいつの時代も不変であるのに、
それを使う私達がコストや扱いやすさのみで外国産の木材に傾倒したり、
その時代の価値観で使わなくなったり粗末に扱っている。
地元で山を守ることは、過去もまた未来に向かっても当たり前のことであるのに、
そうでなくなっていることが残念です!と力説されていたことです。
ほとんどの住宅会社は手間を掛けるのを嫌がったり、リスクを避けようとするのが現状であり、
私も芯持の国産材で苦労したことや、比較的扱い易い外材という話しは数多く聞いています。
しかし、最近になりその国産材の良さを活かしつつ、もっと建築資材として品質を良くする乾燥技術などの研究が進み、
私達の求めていたものが手に入るようになってきました。
当社でも一定の基準(ヤング係数や含水率など)を満たしたものを探して各地を回ってきた結果として今回採用に踏み切った次第です。
以前にも書いた、何故日本にも国産材があるのに外材だけに頼らなければいけないのか?という疑問に
自分なりの答えを見つけたような気がしています。
すべてを国産材のみでまかなうということでもなく、
又、外国材や修正材などを否定するものではありませんが、できる限り国産材を使いたいというのが今の気持ちです。
国産材への正当な評価や、又、国産材を利用していく為に手間隙を掛けて
長く強度を保てる材料にする工夫や技術開発は今後も必要だと強く感じます。
スクラップ&ビルドと言われるような日本の住宅建築事情の中で、
扱いづらいから他の代替品を・・・ということではなく、
日本の山を守り、祖先から伝わってきた様々な知恵や工夫を私達の時代で終わらせたくないと思います。
最後に、当社ではいずれこのような機会に一般の方々も参加していただき、
木や山を大切にする気持ちを感じていただければと考えています。
いい森林は二酸化炭素(CO2)を吸収し空気を浄化して、人間に潤いを与えてくれる。
私たちはもっと多くのことを学び、未来へつなげる努力をしなければならないと考えた一日でした。
樹齢70年の木と、約1/3程度しか生きていない当社の若々しい?スタッフです。
この機会を大切に・・・(~_~;)してほしいですね。